セックスの満足度を高める鍵! - 女性が直面する「オーガズム格差」の最新研究 #62

オーガズム格差の研究はこれまでにたくさんありますが、最新の研究によって格差は依然として残っていることがわかりました。この格差は、コミュニケーションやテクニックを見直し、双方にとって性的快感を高めることによってなくしていくことができます。
とぅるもち 2024.08.19
誰でも

オーガズム格差は依然として存在―特にストレート女性の達成度は低い

近年、夫婦間の性的な不満やセックスレスをテーマにしたドラマや漫画をよく目にします。

マンガアプリを4~5ほどチェックするのがルーティンなのですが、ランキング上位に不倫・セックスレスをテーマにしたコンテンツが必ずと言っていいほどあるような。

特に夫のちんぽが入らない』『今日も拒まれてます』『あなたがしてくれなくてもなどの有名作品は多くの共感を呼びました。

アメリカにおいても同様、「女性が男性ほどセックスを楽しめていない」というのはスタンダップコメディやコメディ番組でよく扱われるテーマのようです。

最近はようやく、こうしたセクシャルウェルネス(性の健康)に関する公の議論が進んでいます。

その中心にあるのが「オーガズム格差」で、女性が男性ほどオーガズムに達していないという現実です。

そして、最近発表された『Sexual Medicine』誌の大規模な研究により、このオーガズムギャップが存在だけでなく、異性愛者の女性にとって生涯続く問題であることが明らかになりました。(参考文献 1)

調査の結果

研究は、アメリカの「Singles in America」調査からのデータを基に行われたもので、これはMatch.comとKinsey Instituteが協力して毎年実施している調査です。

この調査は、18歳から100歳までの約25,000人のパートナーのいないアメリカ人を対象にしています。

  • 目的: この研究の主な目的は、異性愛者の男女間でのオーガズム率の違い、いわゆる「オーガズムギャップ」の実態を確認することです。また、このギャップが年齢とともにどう変化するのか、特に性的な経験や関係性における主張力が増すと予測される年齢層において、その差が縮まるかどうかを検証することも含まれています。

  • 方法: 8年間にわたる調査データが分析され、性行為におけるオーガズムの達成率が測定されました。調査対象者には異性愛者、同性愛者、バイセクシュアルの全ての性的指向の人々が含まれており、それぞれのグループでのオーガズム達成率が比較されました。

  • オーガズムギャップの存在:男性(異性愛者、同性愛者、バイセクシュアル)全てのグループで、女性よりも高いオーガズム率が報告されました。

    異性愛者の男性は、性行為の70%から85%の確率でオーガズムを達成しているのに対し、異性愛者の女性は46%から58%の確率にとどまっています。

  • 年齢によるギャップの変化が見られない:研究チームは、年齢と共にオーガズムギャップが縮まる可能性があると予測しましたが、実際にはその証拠は見つかりませんでした。

  • 性的指向による差異:レズビアンおよびバイセクシュアルの女性は、異性愛者の女性よりも高いオーガズム率を報告しており、特に35歳から49歳の年齢層でその傾向が顕著です。

オーガズム格差の原因は?

Kinsey Instituteの研究者であり、今回の研究の主著者であるアマンダ・ゲッセルマン博士は「幅広い年齢層を調査し、性的な経験やパートナーシップにおいて自己主張できる力が増すことでギャップは縮まるのではないか」と仮説を立てました。しかし、彼女はニューヨーク・タイムズに対し、「オーガズムギャップが縮小する証拠は見られなかった」と述べています。(参考文献 2)

オーガズムギャップについては、長い間話題に上っていますし、多くの人がその現実を経験しているので、この結果に対して「まあそうだよな」と納得する人も多いかもしれません。

実際のところ、異性愛者のパートナーシップにおいて、男女間のオーガズムギャップが存在することを示す研究はこれまでにもたくさんありました。

ギャップをなくすためには?

性教育者のエミリー・ナゴスキー氏は、ニューヨーク・タイムズにおいて「”セックス”という言葉の定義が明確ではないことが、結果を歪めている可能性がある」と述べています。

例えば、挿入前にクリトリスのオーガズム(いわゆる「外イキ」)に達した場合、それは「セックス」の一部として認識されているのか?それとも、「伝統的な」挿入によるセックスのみが考慮されているのか?このあたりは世界の研究者の間でもわかっていないようです。

この調査では「性的快感」と「オーガズム」を別のものとして考えています。

  • 性的快感::これは、体が気持ちいいと感じること全般を指します。セックスの時だけでなく、手をつないだり、抱きしめたりすることも含まれます。

  • オーガズム:これは、性的な刺激の結果として体がピークに達することです。いわゆる「絶頂感」と言われるものです。

「オーガズムを目指すことだけがセックスではない」という考え方はとても大切で、今感じている気持ちよさに集中することが、より良いパートナーシップを築く手助けになるのではないでしょうか。

さらに気持ちいいセックスをするために、お互いに何を感じているのかを話し合ったり、セックストイや潤滑剤を活用したりすることもおすすめです。

正直にお互いの希望を伝え合う勇気も必要です。これまで様々なカップルとお話ししてわかってきたことですが、楽しいセックスを続けている人たちはこれを欠かしません。

例えば、スポーツ的な「セックス」を望んでいるのか、それとも前戯としてマッサージや「かわいい」「愛してる」などの言葉が欲しいのかなど…

セックスを脚本通りに進める必要はないのですが、前もって体験したい気分を共有することで、プレッシャーや心配も減って、快感に集中しやすくなります。

また、特に年齢を重ねるにつれて(または出産後のホルモンバランスが安定するまで)潤滑剤も積極的に使いましょう。摩擦が少なくなり、それに伴って不快感も減少します。

セックストイを使うこともオーガズムの大きな味方です。特に、クリトリスを吸引するバイブレーターや、バイブレーター機能のついたリングがおすすめです。

リングは、パートナーのペニスに装着して、挿入中にクリトリスを刺激することができます。

もし一回試してうまくいかなくても、何度も楽しみながら挑戦してみましょう。

「互いの希望を伝えるきっかけがわからない…」という方には、ぜひtawagramを使ってみて欲しいです!

「こういうプレイが向いてるかも?」の項目をパートナーに見せるだけなので、言葉で説明する手間も省けます。

参考文献

1 lifelong orgasm gap: exploring age’s impact on orgasm rates | Sexual Medicine | Oxford Academic(2024/8/19最終閲覧)

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