「大好きだけど、性的魅力を感じない」 #69
12月に入り、私が今参加しているプログラミングスクールの卒制時期になりました。
性生活分析tawagramの追加機能を開発する予定なので、またお知らせさせてください。
今回はこのような質問をいただきました。
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「愛している」のに「性的魅力を感じない」というジレンマ
まず、質問からお伝えしたいのは「それはとても普通のこと」ということです。
「好きな人と一緒になったのに、体型を理由にセックスできないなんてひどい!」そう思う方はいるでしょうか?心当たりがある方も多いかもしれません。
体型だけじゃなく、他にもいろいろな理由から、パートナーに性的魅力を感じなくなることがあります。
カウンセリングに訪れるカップルやふうふの話を聞いていると、これは誰にでもある経験なんだと感じます。
では、どうして私たちはそういった気持ちの変化を経験するのでしょうか?
その理由は、実は私たちの日常生活の中にあります。
日々の疲れが積み重なる
勉強、部活、アルバイト——。毎日の生活で溜まる疲れは、大切な人のことを「魅力的」に感じる余裕すら奪ってしまうことがあります。
社会人になると、それはもっと複雑になります。仕事、家事、育児。目に見えない心の疲れが、どんどん積み重なっていきます。
「夫は本当に優しい人です。でも、求めて触れられると体が固まってしまうんです」 こんな相談の裏には、「疲れているけど、それを分かってもらえない」という気持ちが隠れていることがあります。
心の距離が開いていく
毎日顔を合わせていても、深い話をする機会が減っていく。LINEでの会話は増えても、実は心の距離は開いているかもしれません。
実は、体の親密さと心の親密さは、とても密接に関係しています。心が離れると、自然と体も距離を置きたくなるんです。
体の変化
思春期、妊娠、歳を重ねること——。人の体は常に変化しています。自分やパートナーの体型が変わることは自然なことですが、その変化を受け入れるのは、意外と難しい課題になります。
「妻の体型は、むしろ魅力的だと思う人も多いはず。問題は…私の中にある『こうあるべき』という思い込みかもしれません」
この言葉は、私たちの「魅力的」の基準が、実は社会や文化の影響を強く受けているということを教えてくれます。
ストレスの影響
自分のストレス状態が、相手への魅力の感じ方に影響することもあるかもしれません。
「自分の調子が良いときは、夫のことがすごく素敵に見える。でも、ストレスを感じているときは…」
これは、「魅力を感じる」という感覚が、単に見た目の問題ではないことを示しています。
私たちの心の状態が、大きく関係しているんです。
では、この状況を良くする方法はあるのでしょうか?
答えは「あります」。ただし、それはシンプルではありません。
例えば、「毎日スキンシップを取ろう!」みたいな解決策は、むしろ逆効果になることが多いです。無理に触れ合おうとすることで、かえって距離が広がってしまうかもしれません。
代わりに、こんなアプローチはどうでしょうか。
正直に話し合う
お決まりですが、「話し合い」です。質問してくださる方に多いのが、相手にはまだ伝えておらず、もしくは相手の考えは知らないままモヤモヤ抱えているということです。
腹を割って、今の気持ちを話してみましょう。ただし、相手を責めるためではなく、一緒に解決策を探るためです。
「私の疲れが最近ひどいせいなのか、スキンシップすらできなくなってる気がする。本当は好きなはずなのに。一緒に原因を考えてくれない?」
「付き合っていた当初のように、あなたに対してムラムラすることがなくなった。それは体型の変化もあったり、いろんな要因があったりするのかもしれない。あなたのことは大好きで尊敬しているからこそ、正直に伝えて話し合いたい」…
とはいえ、話を切り出すタイミングが難しいと感じる人もいると思います。
そういったときはカウンセラーに頼るのも一つの方法です。相談者さん・パートナーの「性格」や「喋り方」に合った提案や、もし口論になってしまった時のフォローを考えてくれるカウンセラーさんもいます。
心の繋がりに目をむける
体の関係の前に、まずは心の距離を縮めることから始めましょう。
例えば
-
一緒に映画を見る
-
新しいお店を探検する
-
趣味の時間を共有する
などです。ただ、今回の質問者さんは、心の距離は近いのかもしれません。一方でパートナー側がどう感じているかはわからないため、心の距離を測る試みはやはり必要そうです。
プレッシャーから自由になる
「触れ合わなきゃいけない」というプレッシャーが、実は一番の障害になっていることも。
まずはそのプレッシャーから解放されることが大切です。
そして、最も大切なことを伝えたいと思います。
これは「修復できない問題」ではないということです。
確かに、すべてのカップルが以前と同じ関係に戻れるわけではありません。
でも、この課題とちゃんと向き合うことで、むしろ関係が深まることもあるんです。
こうやって質問を送ってくださっているのも「自分とパートナーを大切にしたい」という尊い気持ちからきているからだと思うんです。
むしろ、ふたりでこの問題に直面することで、「相手のことを大切に思う」とはどういうことなのか、改めて考えるきっかけになるかもしれません。
大切な人への気持ちが変化すること。 それは、もう個人的な悩みではありません。 現代を生きる私たちの多くが経験する、ごく普通の出来事なんです。
そして、その解決の鍵は、「完璧な関係」を目指すことではありません。
お互いの不完全さを受け入れながら、ふたりにとっての「ちょうどいい関係」を見つけていくことです。
もしかすると「世間的にはふつうじゃない」と思われることに辿り着くこともあるかもしれません。ただ、ふたりが納得すること、本人が自信を持って選べたものであれば良いのではないでしょうか。
大切なのは、焦らないこと。 そして、一人で抱え込まないこと。
この記事を読んでいるあなたも、もしかしたら同じような悩みを抱えているかもしれません。でも、それはとても自然なことなんです。
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